親に縛られた娘の姿
私が小学校に入学するころから、私たち家族(母・私・弟)は祖母と祖父と同居していました。
祖父が亡くなり、私を含む子供たちは独立して家を出て、20年ほど母と祖母の2人暮らしでした。
私は思春期の頃から、母に祖母の愚痴を聞かされていました。それは大人になっても変わりません。
そんな祖母も高齢になり、数年前からだんだんと体の自由が利かなくなり、認知症の症状も少し出始めました。
祖母が元気だったころは口癖のように「私はボケたら絶対に施設に入る!子供に下の世話はさせられない」と言い、母も「私は介護は無理。ボケたら施設に入ってもらう」と言っていました。
でも、実際体が動かなくなってきたころにやんわりと「そろそろ施設に...」みたいな話をしたら、「私は施設には入りたくない。ここで死にたい。あんた(母)が仕事を辞めて看てくれたらいい。」と言い始めました。
母はそれを聞いて「仕事は辞められないけど、無理やり施設に入れることはできない」と、家で介護が始まったのですが、それはそれは大変でした。
昼夜の感覚がない祖母は早朝や夜中でも母を何度も呼び、母は極度の寝不足に。
訳の分からないことを繰り返し言う祖母に発狂したり暴言を吐いているのも何度も見ました。
歩けないわけじゃないので、トイレはトイレまで連れていきさせていたのですが、実の母親のパンツを下ろし、汚れたおしりを拭き、時に自分の手に便が付く...辛さとむなしさで、何度もトイレで泣いたと聞かされました。
ヘルパーさんやデイサービスなども使っていましたが、祖母が「デイサービスには行きたくない」と言うので辞めました。
介護認定も、家族と同居している、介助すればトイレまで行ける、認定員さんが来たら張り切って動くので「要支援」止まりで、介護保険内でのサービスはあまり受けられませんでした。
もう、施設に...と何度も言いましたが、そのたびに「あんたはいつも見てるわけじゃないから何もわかってない!」とか「私だって施設に入ってほしいけど、本人が嫌だっていうのを入れられない」と今度は私と言い合いに。
私もできる限りのことは手伝っていたけれど、まぁそう言われるとそれ以上は何も言えなくなります。
母も限界になって「お願いだから施設に入って」と言ったことがあるみたいですが、「あんたは親を捨てるのか?」と言われて、それ以降は言えなくなったそうで。
正直、近くで見ていて地獄だなぁと思います。
母は一人っ子なので、自分が決めたことに文句を言うような人はいません。(親戚連中の目は気にしていると思います。)
だから余計に私だったら、本人がなんと言おうと施設に入ってもらうと思います。
母はそんな私を「冷たい人間」だと言い「私にはそんなことはできない」と言います。
じゃあ好きにしたら?ともう何も言わないことにしました。その代わり実家への足も遠のきました。
母は介護生活を通して私に「私は絶対に子供に迷惑をかけないから」と何度も言います。
でも、正直私には「私はこんなに親にしてあげたんだから、私も自分の思い通りにしてほしい」と思っているんではないかと思ってしまいます。
申し訳ないけど、私は「冷たい人間」なのでしてあげられませんけど...ね。